405 :殿堂 2006/01/04(水) 13:33:08
これって既出??? 既出だったらスマソ!

915 :もう少しここに ◆16i1keR0oc :04/10/12 20:42:23 ID:jtjoC2JB

 6年ほど前の今頃は、花屋に勤めていた。毎日エプロンをつけて店先に立っていた。
 ある日、小学校一年生ぐらいの女の子がひとりで花を買いに来た。 淡いベージュの
 セーターにピンクのチェックのスカート。 肩の辺りで切り揃えた髪が、動く度に
 揺れて愛らしい。フラワーキーパーの前に立ち止まり、真剣な面持ちで花を
 選んでいる。

 母の日でもないし、クリスマスでもないし、何のプレゼントかなぁと思って、
 しばらく様子を見ていた。あっちを見たりこっちを見たり、あまりにも
 一生懸命でなかなか決まらない様子だったので、「誰かにプレゼントするの?
 お誕生日?」と声をかけてみた。

 少女は首を横に振る。「お母さんにあげる」と言う。 「お母さんお花が好きなん?」と
 聞くと、今度は首を縦に振る。 こんなおっさんが相手したら緊張して言葉にならないかなと
 思って、ニコニコ笑顔をがんばってみた。しかし、少女の口から思いがけない言葉を
 聞いて、胸がつまった。

「パパがタヒんじゃったの。ママ元気ないの。だからお花あげるの。」

 そんな言葉を口にしながら、一生懸命お花を選んでいる。泣きたい気持ちで
 爆発しそうになった。「そっかぁ。。。お母さんきっと喜ぶねぇ。」笑顔を
 頑張れなくなってきた。
406 :殿堂 2006/01/04(水) 13:38:45
それから色々話を聞いてみると、つい最近お父さんが亡くなったこと、
お母さんが時々泣いてるのを見かけること、おばあちゃんに、お母さんが
 どうしたら元気になるか聞いたら、お花がいいよって教えてもらったことが
 わかった。

 レジの後ろへ駆け込んで、しゃがみこんで急いで涙を拭いて、パンッパンッと
 頬っぺたを叩いて気合いを入れなおした。

「どれにしよっか?お母さん何が好きかなぁ?」
「これがいい。」指の先にはチューリップ。鮮やかな明るいオレンジ色。
「うん、チューリップかわいいね。じゃあ、リボンつけるからちょっと待ってて。」
 女の子は大人しくじっと見ている。
「お母さん早く元気になるといいね。」
「うん。」

 出来上がった花束を大事そうに抱えて、ニッコリ笑ってくれた。
「ありがとう」「気をつけてね。バイバイ」と言って手を振った。元気よく
 手を振りかえしてくれると思ったら、ぺこりとおじぎをした。

 小さな女の子が頭を下げる姿を見て、限界に来た。どしゃぶりの雨のように
 涙が溢れて止まらなくなった。もっと他に言ってあげられることはなかったか、
 してあげられることはなかったか。 そんな時に限って何にも出てこない。
407 :殿堂 2006/01/04(水) 13:39:31
 急に思い立って、駆けていく少女を追いかけた。「ちょっと待って!」
 振り返ってきょとんとしている。「ちょっとだけ待ってて。」

 店に入ってきたばかりの小さな小さなチューリップの鉢植えを急いで
 ラッピングして、 メッセージカードに「はやくげんきになりますように」と
 ひらがなで書いた。その時初めて名前を聞いた。「みかより」と書き添えた。

「これもいっしょにプレゼントしてあげてな。これは親指姫っていう名前の
 チューリップやねん。かわいいでしょ?」
「うん。ありがとう。」もう一度、さっきより、もっといい顔をしてくれた。
「バイバイ。ありがとうね。」 「バイバーイ。」 花よりも何よりも、輝くように
 明るい笑顔だった。

 後日、お母さんと、おばあちゃんと、みかちゃんが店にやってきた。
 わざわざお礼を言いに来てくださったのだ。ピンクのチューリップで
 花束を注文してくださった。

「この子はピンクが好きなんです。私がオレンジ色が好きなものですから、こないだは
 オレンジを選んでくれたみたいで。」みかちゃんはただニコニコしている。

 花束を本当に嬉しそうに抱えながら、お母さんとおばあちゃんを交互に見上げる。
「よかったね」おばあちゃんが頭をなぜる。お母さんは優しい顔で見ている。
「うん!」

 お母さんはきっと元気になられたことだろう。 小さな小さなみかちゃんの笑顔は、
 今も明るく輝いていることだろう。
410 :殿堂 2006/01/05(木) 19:09:23
>>405
泣いた
引用元:http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/tomorrow/1130500556/
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